第4章 CO2の清掃屋 海洋ラン藻生物の応用

海洋ラン藻生物
海洋ラン藻生物
海洋から酸素を放出するシアノバクテリア
海洋から酸素を放出するシアノバクテリア

CO2による地球温暖化対策が大きな社会問題となっている。対策の一環としてCO2廃出規制、そして森林によるCO2吸収効果が一般的に評価されているが、地球の2/3を占める海洋で、温暖な大陸棚に生息するラン藻生物がCO2を吸収し、酸素を供給してきたのではないかと思っています。

それは地球史において、生命は海から誕生し、20数億年に地球上に出現した光合成生物、シアノバクテリヤは太陽光のエネルギーを使って水と二酸化炭素から有機物をつくりだし、酸素を廃棄物として大気に放出し続けてきた。太古の時代に充満していた二酸化炭素は海洋に溶け込み、浮遊する植物プランクトンによって吸収され、やがて遺骸は深海底に雪のように降り注ぎ、石灰質ケイ酸塩化していた。

 

植物プランクトンの増殖によって、二酸化炭素を吸収し酸素を供給できるなら、海洋域において植物プランクトンに必要な栄養塩である硝酸イオンが高濃度である必要がある。それとシアノバクテリヤ習性を系統とする植物プランクトンであるなら、海洋環境は豊富な鉄イオンとケイ酸塩が必要とされるが、それらは海底に蓄積された生物遺骸が海流循環により海面近くに運ばれたり、河川から、あるいは大陸から大気によって運ばれた黄砂等から自然に散布されているのかも知れない。

 

また日本は世界6番目、451万平方海里(国土の約12倍面積)の海洋域を管理し、海洋資源を守ってきた。その海洋域は植物プランクトンが最も繁殖しやすい、温暖で栄養源に富んだ区域でもある。日本のCO2削減目標量はこの海洋原で既に達成しているのではないでしょうか?。科学的に検証し、主張すべきと考える。

 

国内から廃出されるCO2を膨大な予算を使って、地下深部にボーリングし廃棄する計画がある。その技術はアメリカのメジャ石油会社で油田開発の専売特許である。だが地球史から見ると、バイオ技術でCO2から酸素を取りだすことができるのではないかと思っています。ただバクテリヤ利用の場合、悠久な生態系であり機能が劣るため、遺伝子組み換え技術が必要です。

 

大手ゼネコンは公共事業依存から一斉に環境分野に進出しています。世界をリードする日本の最先端技術からすれば、今まで厄介物CO2から酸素を取りだす技術も難しくないと思われます。環境資源エネルギー源として、石油代替になるのではないでしょうか?。

 

CO2を環境資源としての可能性が具体化すれば、旧炭鉱トンネル内はCO2資源貯蔵庫として有効利用も考えられます。同時に酸素資源企業の進出で財政再建も短期で可能となるでしょう?。社会では酸素と水素燃料自動車でCO2は大幅に削減。石油輸入も削減されるでしょう。副産物の炭素Cは炭素繊維等に応用され、基幹産業の中核となります。

 

かってナチス独は、海上封鎖され、石油ストップという国存亡の中で、石炭から石油を生成する画期的技術を開発している。今こそ技術国日本はCO2を負と考えず、CO2削減目標をビジネスチャンスと考え、CO2を酸素化する技術を世界に先駆け開発し、環境技術国として君臨しなければならない時を迎えている。

 

森林がCO2を吸収、酸素供給という一般的常識ですが、樹木は夜間に大気中の酸素を吸収しています。樹木の土壌には好気性バクテリアが生息・光合成が活発期間は増殖、土壌養分の分解作用を行い、落葉した冬季期間の非光合成期間は微生物は休眠状態となって共栄共存の生態系を築いている。
このように大気中の酸素濃度は土壌菌によって調整されている。NASAでも実験済だ。このため夜の山の自然森は土壌菌だけが酸素消費するため酸素が薄くなっているのでキャンプ等は注意が必要です。
また大陸には砂漠あり、不毛地あり、広葉樹林は落葉するし、アマゾン森林は伐採されているが、地球規模で酸素濃度21%が減少したということは聞いていない。地球史からは、海洋こそが地球環境を救う最前線と思っています。国有林を管理する所管の延命策に多額の税金が投入されることに疑問を感じます。
特報
H25.6.18 NHKニュースでCO2から O2を取り出す画期的な発明が紹介されていました。この荒唐無稽な提案から4年、ようやく世の中で理解されたようですね。がんばろう科学国ジャパン。次は集積された汚染放射能物質の再生利用計画です。
 

●NASAバイオスフィア2計画

アメリカ合衆国アリゾナ州オラクルに建設された、 巨大な密閉空間の中の人工生態系である。名称は『第2の生物圏』の意味であり、建設の目的は人類が宇宙空間に移住する場合、閉鎖された狭い生態系で果たして生存するかの実験

その結果は酸素不足 ― 事前の計算では大気は一定の比率で安定するはずであったが、壌中の微生物の働きなどが影響して酸素が不足状態に陥った。また日照が不足すれば、当然光合成で酸素を生産することが出来ず、不足状態は慢性的なものになった。

 
バイオスフィア2内部からの風景

 

海水の溶存酸素量

海の魚が生息できるのは海水の溶存酸素があるからです。溶存酸素の供給源は海洋ラン藻生物であり、海洋ラン藻の光合成が活発な大気に接する表層で多い。対流によって深海に溶け込みます。海洋ラン藻生物こそ地球生命体の根源なのです。

 溶存酸素量(以後、酸素量)とは、海水中に溶け込んでいる酸素量のことを言います。一般的に酸素量は大気に接する表層で多く、また海水温によって溶け込む量が異なります。海水温が低い亜寒帯の親潮域などでは、良く溶け込みますが、海水温が高い亜熱帯の北赤道海流域などでは、あまり溶け込みません。

 

溶存酸素量の鉛直分布図

溶存酸素量の単位μmol/kgは、海水1kg中に含まれる酸素の物質量をμmol(マイクロモル)で表したものです。μ(マイクロ)は100万分の1(=10-6)を表します(μmol(単位・化学記号))。1μmol/kgを海水1kg中に含まれる酸素の質量(g(グラム))に換算すると、32μg/kgと表すことができます。 

 

海洋の無酸素状態

仮に海洋のラン藻生物・植物プランクトンが死に絶えた場合、海水の無酸素状態から、まず海洋生物は絶滅します。次に、地上の生物は大量に死滅します。嫌気性バクテリアの台頭、我が春を謳歌します。

 溶存酸素量図 地図

 
※共通用語
光合成生物:シアノバクテリヤ・ラン藻生物・植物プランクトン